仕事などが忙しく、なかなか買い物ができないと、どうしても休日に、しかも大量に食料品を買うことになると思います。
当然、肉も冷凍保存が利くからとたくさん買ってくることでしょう。
そんな折、忘れた頃に賞味期間切れの肉が出てきて、しかも驚くほど過ぎていたら、あなたならどうしますか。
一般的に見て、「冷凍保存は大丈夫」と思ってしまいがちですが、実は、色々ある様ですよ。
また、肉と、肉に含まれるゼラチンについても合わせて、調べてみたいと思います。
目次
一般的な肉の賞味期限
スーパーなどで売られている肉の冷蔵保存の賞味期限(代表的な肉の例)
[牛肉]
薄切り肉:2日から3日
かたまり:4日から5日
[豚肉]
薄切り肉:2日
かたまり:2から日3日
[鶏肉]:1日
[ひき肉]:当日中
自宅に持ち帰っての冷凍保存の賞味期限
[牛肉]
生のままで冷凍:2週間から3週間
下ごしらえ済みや調理済み:3週間から4週間
[豚肉]
生のままで冷凍:2週間から3週間
下ごしらえ済みや調理済み:3週間から4週間
[鶏肉]
生のままで冷凍:2週間から3週間
下ごしらえ済みや調理済み:3週間から4週間
[ひき肉]:2週間から3週間
※冷蔵の場合は、2日から3日中に、ひき肉に限っては、当日に、それぞれ使い切りましょう。
また、冷凍保存は、生のままよりも手を加えた方が保存可能期間も長くなることが分かりました。
肉に含まれるゼラチンとその役目
肉に含まれるゼラチン
肉に含まれるコラーゲンがゼラチンになる様です。
肉のコラーゲンは、元々とても固いタンパク質です。
それは繊維状になっていて、細胞と細胞を結ぶ糊の役目をしている様です。
ですが、コラーゲンに、ある温度以上の熱が加わるとゼラチンとして外に現われます。
コラーゲンが熱で溶けてゼラチンになり、ゼラチンが冷えて固まると煮こごりになります。
ゼラチンの役目
固い肉を軟らかくし、美味しくする役目がある様です。
細胞と細胞をつないでいたコラーゲンが、ある温度に達して溶けだして肉が軟らかくなり、旨味成分を含んだゼラチンが出汁などに溶けて美味しくなります。
肉が美味しく解凍できない訳
先ほど、肉に含まれる固いタンパク質が、加熱されて外に出たものがゼラチンと分かりました。
これを踏まえて調べてみると、企業が冷凍する時の温度は、-60℃の急速冷凍で、家庭用の冷凍室では、-10℃での冷凍です。
確かに、最近では、急速冷凍をうたい文句にする冷凍冷蔵庫もありますが、スーパーで購入後、全く時間を置かずに自宅の冷凍室に入れることは不可能ですし、業務用には敵いません。
一方、肉は、小さな細胞の集まりです。
その肉の細胞が冷凍状態になるまでの間に、細胞の中の水分が凍ることによって細胞の壁が膨張して壊れます。
一見、冷凍状態では分かりませんが、解凍すると「ドリップ」が出ていることに気が付きます。
「ドリップ」は、ご存じの通り、肉の水分と一緒に外にでた旨味成分です。
ドリップの中に旨味成分と一緒にゼラチンも溶けだし、水分が抜けたことで肉もパサつき、固くなって美味しくないという結果になります。
肉を冷凍する
肉を上手に解凍するには、いくつかの条件(作業)が必要です。
①肉はできるだけ新しいものを購入
スーパーに並んだ肉の中には、すでにドリップがでているものがあります。
冷凍保存が目的の場合は、ドリップのでていないものを選びましょう。
ドリップがでているということは、並べられてから時間が経っているという目安になります。
②肉と空気の接触は最小限にする
まず、トレーから出しましょう。
トレーに入ったままでは、トレーの中の空気が肉の酸化を進めます。
トレーから出したら、肉の酸化を最小限に防ぐために、ラップで真空状態を作りましょう。
肉に空気が入らない様にしっかりラップでくるんだあとは、さらに冷凍パックなどの保存袋に入れましょう。
ハムやソーセージなどの加工品も同じ様に真空にして冷凍します。
なおラップでくるむ前に、肉に付いた水気をきれいに拭いてからの方が、臭みを取るのに有効です。
③肉は小分けにする
ブロック肉や厚みのある肉は、できるだけ小さく1回分ずつに小分けにして、スライス肉は、重ならない様に、ひき肉は、できるだけ薄くのばしましょう。
そうすることで、元の形ままよりも冷凍時間が短縮できます。
旨味を逃がさない解凍方法
使いたい日の前の日に冷蔵室に移動させましょう。
そうすることで、次の日には、丁度良い具合に解凍ができていて、ドリップの量も最小限に抑えられ、旨味(ゼラチンを含む)の逃げも最小限に抑えられます。
常温での解凍は、冷凍の環境から暖かな環境に突然放り出されることになります。
急に解凍が始まることで、旨味成分が水と一緒に外に出てしまい、結果、ドリップの多い解凍となります。
肉の賞味期限が2年も過ぎた
業務用の冷凍庫は、-60℃で冷凍するとありました。
また、その冷凍は半永久的(開け閉めが頻繁や機械の故障など以外)です。
ですが、家庭用の冷凍室は、霜が付かない様に周期的に庫内の温度が微妙に上下します。
そうなると、肉は、2年もの間、ずっとこの繰り返しの庫内にあったことになりますし、ずっと肉も劣化し続けてきたことになります。
調べてみると、ある飲食店の冷凍庫から、数年前に賞味期限が切れた肉のかたまりがでてきたそうです。
その肉は、業務用の冷凍庫ですから腐ってはいませんでしたし、プロの仕事ですから保存もしっかりしていました。
それでも、解凍した時には、水(ドリップ)がたくさんでて、肉質は固くてパサパサしていたそうです。
食べてみても、全く美味しくなかったとのことでした。
数年前といえば、おおよそ2年から3年です。
このことから、私個人としては、「一般家庭の冷凍庫では限界があり、決して保存状態が良いとはいえないので、食べられない、食べない方が良い」と判断しました。
万が一食べるとしたら、それは、もう自己責任で、自分の目と鼻を頼りに、十分に観察をして、また、十分に火を通して、食べる様にしてください。
まとめ
特売の日に、肉をたくさん買ってきて冷凍庫に保存することは、「冷凍すれば長く持つ」という考え方から当たり前のこととしてやっています。
ですが、今回調べてみて、冷凍保存可能期間を大きく超えて保管していることを見直す良いきっかけになりました。
また、スーパーに並ぶ肉から、赤い汁が出ているのは、解凍してから時間が経っているということを薄々感じてはいましたが、旨味成分(ゼラチンを含む)が外に出てしまっているなど、それほど気にも留めていませんでした。
これからは、気にして買い物をしたいと思います。
さらには、冷凍の保存方法によっても肉質や日持ちに違いが出ることも分かりましたし、解凍する時も、冷凍庫から常温に出さずに、前日から冷蔵室に移動させるということも勉強になりました。
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